code kurkku + IL GHIOTTONE。
自然派レストラン・クルックと京都の人気イタリアンIL GHIOTTONEの笹島保弘シェフが健康な食材にこだわった料理をお届けします。
(グランフロントHPより)
後者は(勿論)知っているが前者は知らぬ。
なんでも東京は代々木にあるおされ系(印象論)イタリアンであるらしい。
そういうコラボレストランにはすぐ眉唾を塗ってしまうひねくれ食べ歩きったーなのだが、今回母上がどーしてもグランフロントでランチ食べたい!しかもそこそこのレヴェルのとこがいい!と仰ったので白羽の矢を立てた次第である。
まあ、「そこそこのとこ」のランチを奢って頂けるのであれば此方としても異存は無い。
当日は生憎の雨だったのでエントランスの写真は割愛した。
グランフロント1階の路面店で、大きな窓の外には様々な鉢植えの木をあしらい雰囲気を演出しようとなさっているのだが、いかんせん通りを挟んだ向こうにはダイコクドラッグがでかでかと看板を挙げているのでやむを得ぬとはいえその目論見は外れていると言わざるを得ない。
ランチのメニューは3,675円と5,775円のもの二種類。
後者は食材が違い(まあ当たり前)、フォアグラのスペシャリテが一品つくらしい。
どーせやったら高い方にしようやないの、と気前よくスポンサーは仰った。
クリエンテス(違)は有難やと平伏するばかりである。
メニュー。
見難いアングルですまない。
ここでは丁度隠れてしまっているが、嬉しいのはグラスワイン、グラススプマンテが孰れも630円で頂けることである。
なのでまずはスプマンテを注文す。
突き出し?にグリッシーニが出てくるのはごくごく普通だが、特筆すべきはこれらが電球に入った状態で供されることである。
(ほんまもんの電球なんだか電球様の食器なのだかは定かではないが)
「きゃー、かわいー!」
と女子同士、はたまたカップルの会話も弾むこと請け合いである。
カトラリーもモダンである。
パン。
有名店「パンデュース」のものだそうな。
まあ至って普通なのだが、
普通と違うのはかようにでっかい木箱で供されることである。
成る程、この箱は保温のためのものなのだな。
流石は行き届いている、と感心したのだが、いざ食べてみると普通に冷たくて(というか最初から焼いてもおらず)ずさーっとなった。
ならこの箱要りませんよ。
嵩張るし邪魔なんですけど。
なんてことはこのステキ空間では口にしていかんのですね分かります。
「やわらかいイイダコのちょっと風変わりなカプレーゼ、○穂紫蘇」
(○の字はメニューで解読できませなんだ。「芹」か?)
運ばれてきたとき、綺麗だけどどうせ見た目だけとちゃうん、というひねくれた先入観はひとくち食べたとたん雲散霧消した。
冷製トマトソースの爽やかな酸味、モッツァレラのコク、紫蘇の香り、イイダコの塩辛い旨味が渾然となって、いやはやこれは大変美味しいものである。
写真では上手く撮れていないが、不思議な中空のガラス容器も目に楽しい。
(しかしウェイター氏がモッツァレラの説明をする際に「水牛の乳でできたモッツァレラです!」とやたら強調したには違和感を覚えた。今更だがモッツァレラはデフォルトがbuffaloであるし、この価格帯のランチで牛乳仕立てのもの出てきたらそら怒りまっせ)
前菜のお皿を下げた時点でカトラリーを持って行かれたのであれ?と思っていたら、机手前の引き出しを開けろとの指示があった。
ほほう、こういうことになっていたのね。
「初鰹と蛍烏賊、いろんな和野菜のサラダ ボッタルガ添え」
鰹と烏賊の下には一時期一世を風靡?したバーニャカウダソース。
そして鮮やかな黄色のボッタルガ(カラスミ)が精彩を添える。
これまたよく考えた取り合わせであると思った。
味付けも力強くスプマンテも進む。
(でも、ひっそりと言わせて頂くと、正直ここで鰹と蛍烏賊を使う意味、及びバーニャカウダソースを持ってくる意味ってあんまないような気がする。
この取り合わせだとやっぱポン酢つけて食べるほうが美味しいと思うのは、トゥールジャルダンで鴨を醤油で食した魯山人的な日本人の傲慢さかも知れないがやっぱりそう思ってしまう。
あんまヨコメシの皆様におかれましては和の食材がー、旬のものがー、と必死こかなくてもいいと思うんですね私は。
けれど、そうしないとお客様に対する訴求力に欠けるんだろうし…難しいところだ)
ここでスプマンテが空になったのでグラスの赤ワインを追加注文す。
パスタの内容から言えば白だが、後でフォアグラと肉のメインが控えているので赤を選んだ。
嗚呼630円グラス万歳。
「釜揚げシラスとしゃきしゃきワケギ(ではないのだが後に記す)のスパゲッティーニ、カルボナーラ仕立て」
実は最初にこのメニューを見たとき、私はウェイター氏にこういった。
「あのう、私ネギがちょっとだめなんでネギだけ抜いて頂けたら…」
ご存じの方はご存じの通り、私は昔からネギが苦手である。
最近はかなり食べられるようになったが、避けられるものであれば避けられたい。
とはいえ、「お苦手な食材は…」と聞かれるシチュエーションでは滅多にその旨は伝えないのだが(厨房が面倒だったら気の毒だなあとかヘンに気を回してしまうので)、今回はごめんなさいネギ入りパスタはやっぱ嫌だと我が儘を言ってしまった。
さすれば、暫くしてウェイター氏が飛んできて曰く、
「あのうお客様、玉葱は大丈夫でいらっしゃいますでしょうか…」
と。
流石に玉葱がダメなら洋食系の店に来るなのレヴェルであろう。
いやいやそれは大丈夫ですと安心して頂きつつ、ああやっぱりいらんこと言うでなかったかと暫し後悔したことであった。
しかしその後悔もこのパスタを見たときにどこかに飛んでいった。
なんと!
わけぎの代わりに!
菜の花を入れてくだすったんである。
私がどれだけ菜の花フェチ(敢えてフェチと言おう)であるかは、旬である早春の夜、家で熱燗の相方として大量丼鉢一杯の菜の花を茹でてはもりもり食する我が奇癖をご存じの方なら首肯頂ける筈である。
そしてこのパスタに於いてもわけぎを菜の花に置き換えたことは大成功であったと思う。
(そもそもわけぎダメな人間が何を言っても説得力ないことは百も承知だが)
しらすのほの辛い味わいにカルボナーラの濃厚な風味、そこに菜の花のほろ苦さが相俟ってadorable!とでも言いたくなるほど素敵な一皿であった。
この時点で心の中で再訪を誓った。
フォアグラのスペシャリテである。
え?フォアグラどこ?
なんとなくクラシカルな分厚い一切れどどん、をイメージしていたのでちょい拍子抜けの感否めずであった。
しかしまあ、こんなオサレイタリアンがそんな野暮な真似しませんわな。
フォアグラの炭コロッケ。
中にフォアグラが入ったコロッケで、外側の黒いのは食用炭であるという。
上のわしゃわしゃっとしたのは新玉葱のフライ。
炭である意味はいまいちよく分からなんだが(勿論彩りなんでしょが)まあ構成要素からして間違いない味。
此方は定番、玉葱のタルト。
(成る程、それでウェイターさんは血相変えて玉葱は大丈夫ですか?と尋ねにきたのだな)
飴色になるまで炒めた玉葱もこれまた鉄板の旨さである。
でも、一応「フォアグラの」スペシャリテを標榜するのであれば、もちっと大きな一片を乗せておいて欲しいなーと思うのは我が儘なのだろうか。
なんなら一品だけでもいいので、是非。
さあ遂にメインである。
「グアンチャーレで覆った豚ロース クリーミーなじゃがいものピュレと芽キャベツのフライ、エスプレッソ風味」
注釈が必要ですな。
グアンチャーレは豚の頬肉を塩漬けにした生ハム(生サラミ)の一種。
これが、大阪名物犬鳴ポークのロースの上にふんわりと乗せられている。
写真の茶色いソースがエスプレッソソース。(というか、エスプレッソそのもの)
これまたヴィジュアル的にも素材的にも凝った一品である。
犬鳴ポークは何度か食べているが、これはその中でも特筆すべき旨さであった。
なんといっても脂身が味わい深い。
最近肉の脂が堪える年頃になったのだが、それでもこの豚のものは美味しく頂けた。
そこにグアンチャーレ、かりかりに揚がった芽キャベツがアクセントを添える。
エスプレッソソースは…個人的にはいらんと思ったごめんなさい。
そこはクラシカルに酸味を添えるべくバルサミコ系ソースでよかったんじゃあるまいか。
彩りも似てるし。
最後はデザート。
スイーツ各種とチーズ盛り合わせが選べます、と聞いて間髪入れずチーズお願いしますと返事する。
チーズが選べるだなんてなんと素晴らしいお店なのだろう。(←食後の甘いもの大の苦手人間)
分かっていればグラスワイン、ちょっと残しておいたのに。
肝心の写真を取り忘れてしまったのだが、内容は青チーズにペコリーノロマーノ、そして名前を失念したがハード系チーズであった。
青チーズには蜂蜜がかかっておりうんよく分かってるねー、とにんまり美味しく頂いた。
惜しむらくはクラッカーの類いが添えられていなかったことである。
(ほんの小さいものでいいんですけどね)
食後の飲み物は珈琲紅茶、ハーブティーと番茶が選べる。
吃驚するほどスモーキーなフレーバーの番茶(シングルモルトかよと思う位)をゆっくり頂き、今回のランチは終了と相成った。
正直、こんな新進気鋭の駅近一等地商業施設で、しかも新進気鋭のお店同士のコラボ店舗でこれだけ美味しいものを頂けるとは思っていなかった。
色眼鏡をかけて斜に構えていた自分を恥じたい。再訪は確実です。
今度は夜に行ってみたい。(高そうだが)
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