2013年9月29日日曜日

The Naked Time(魔の宇宙病)/TOS(S1)

(簡単なあらすじ)

惑星崩壊を観察するためやってきたエンタープライズ号。
だが先行の観測基地は凍てつき、隊員は全員死亡していた。
その死体を調査する際うっかり素手で触れてしまった上陸隊員のひとりは、船に戻った後突然鬱症状を呈し、普通ならなんでもない傷が元であっけなく死んでしまう。
そして、彼と接触したクルー達はどんどんおかしなふるまいをするようになっていく…

(感想のようなもの)

名作。
スタトレには「なにかわけのわからないもの」が船内に侵入して危機に陥る、というパターンが多いが(これはTOSだけかしら)その中でも秀逸な回だと思う。
クルーにより色々な錯乱パターンがあるのだが(ここは、ひたすら錯乱がセクシー方面に終始したTNG版と異なる)例えばスールーは自慢のフェンシングの腕を誇示し、「リシュリュー、待て!ここで逢ったが百年目!(的なこと)」と叫びつつ同僚のクルーを追い回す。
結局はスポックお得意のVulcan nerve pinchで昏倒させられ、それを見たカークが「ダルタニアンを医務室に連れていけ」とかいうところは三銃士好きにはにやっとさせられる場面だ。

でもそれより何より、なんといっても見所はスポックとカークの二人がこの厄介な病に罹ってしまった際の場面である。
心を「Naked」にされたスポックは、
「今まで地球人の母を愛せなかった」
「実は貴方(カーク)との友情も恥だと思っていた」
と告白する。
しかし船が危機に瀕している今、カークは彼の告白に耳を傾けている暇はない。
平手打ちを繰り返し必死で彼を正気に戻そうとするも、逆にふっとばされてしまう
(ヴァルカン人は怪力だ)

そして今度は自分も病にとりつかれたことを知るカーク。
汗まみれになりつつ、
「愛?愛なんぞ厄介だ。この船は私の愛を奪い、私に自由を与えてくれない。
『彼女』が許してくれないんだ。
私だって生身の女の子を抱きしめてビーチを散歩したいよ」
という本音を口走る。
(ここでスポックが正気になり、必死でとりなそうと「ジム」「ジム」と呼びかけるのがまた胸がきゅんとするんですよ)
結局なんとか自分を制御し、最後に船内をぐるりと眺め
「必ず、必ずきみを救う」
と呟くカークのなんと男らしいことか。
勿論「彼女」「きみ」とは大事な、そう生身の女の子なんぞよりずっとずっと大事なエンタープライズの事である。

正直、この回を見るまでスタトレは確かにそこそこ面白いけれどもそれよりもセットの古さとかが目に付いてあまり話に乗れないな、やっぱ色々見慣れた現代の自分に昔の話は楽しめないのかなと思っていた。
しかしこれを見てその考えを改めるに至った。
この二人(そして彼等を取り巻くマコーイ医師にスコッティ、スールー、ウフーラその他)の織りなす話をもっと長く見ていたいと思うようになった、そのきっかけがこの「The Naked Time」だ。

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