2015年9月17日木曜日

Road to Lake Districtー湖水地方への道(下調べ・予約編)

事の始まりは今をときめく(かな)英国俳優、ベネディクト・カンバーバッチのハムレットであった。
このハムレット、昨今のベネディクト人気もあって、一年前からのチケット売り出しにもかかわらず準備された前売り券は瞬く間にほぼソールドアウトとなった。

私もこの狂乱のチケット獲得騒ぎに飛び込み、幸運にもチケットを確保できた一人である。
しかし、1年以上先の予定なんて神様だってご存じない。
なので余り何も考えず適当に火、水、木の公演を押さえたのであったが、のちにこれが苦労のタネとなるのである。

とまれ、湖水地方である。
湖水地方を訪ねることは私の長年の夢であった。
ゆえに、このハムレットでの渡英の機会にどーんと行ってみようではないかと思い立ったのであった。

白羽の矢を立てたのはロンドンからの1泊2日日本語ツアーである。
土曜日に到着し、日・月とツアーに参加する。
火~木はハムレット。
金、土はまた別の芝居とミュージカルを見る。
そして日曜日に帰着。
ばっちりのコースである。

ただ、ロンドンからの1泊2日ツアーは殆どが月~金出発のみやら週3日のみ催行やらばかりで、なかなか希望のものに巡り合えなかった。
幸い、日曜日出発の(かなり割高だが)日本語ツアーを発見したのでよしこれ申し込もう、と勝手に決定し、その他の日に芝居やミュージカルの予定をほいほいと入れていたのであった。

だがしかし。
出発3か月半ほど前にいざこのツアーを予約しようとすると、申込みフォームに「チケット受け取り」という項目があることに気づいた。
しかも、そこには二つの選択肢しかないではないか。
・ホテルで受け取り(月~金のみ)
・ユーストン駅で受け取り(月~木のみ)
(※ホテル受け取りの場合はフロント預けはできません)

うん。
これは土曜イギリス着、日曜出発希望の私にゃ無理だね。
一応問い合わせてみたが、「月曜日以降にご出発ください」と断られた。
だからそれは無理なんだってば。

というわけで、既存のツアーに安穏とのっかるはずが一転、全てを自己手配せねばならない羽目に陥ったのであったが、その顛末や如何に。
以下、その手配に至る手記を綴ってみることにした。
いつかどなたかのご参考になれば幸いである。


因みに今回の湖水地方の旅程は以下の通りだ。

・一日目(日曜日)
朝にユーストン駅出発、オクセンホルム乗り換え、ウィンダミアへ(午後一着)
午後フリータイム
・二日目(月曜日)
全日フリータイム
・三日目(火曜日)
午前フリータイム、午後一にウィンダミア駅出発、夕刻ユーストン着
夜ハムレット鑑賞

以下、項目ごとに検討、手配した結果である。

■列車

このサイトで検索した。
National Rail Enquiries

イギリスの鉄道は、日本と同じく民営化されており、現在20数社の民間会社が「ナショナル・レール (National Rail)」という統一ブランド名で列車の運行を行っている、らしい。
その名を冠す上サイトでは、旅程の検索を会社の違いに関わらず一括して検索することができる。
購入の段になったら各会社の支払用ページに飛ぶという仕組みである。

湖水地方へは、ロンドンのユーストン駅Euston発グラスゴーGlasgow行きのヴァージン・トレインVirgin Trains運行の列車に乗るのが一般的だ。
(ランカスターLancaster経由もある)
私の目的地ウィンダミアWindermereに行くには、一旦オクセンホルムOxenholme Lake District で下車し、支線First Transpennine Expressに乗り換える必要がある。
分かりやすく書くとこうなる。

ユーストンEuston
     ↓(Virgin Trains )
オクセンホルムOxenholme Lake District
    ↓(First Transpennine Express)
ウィンダミアWindermere

上サイトではこの路線を一括して検索、購入するすることができる。
ゆえに、早速出発日の8月30日(日)、ロンドンへの帰着日の9月1日(火)にて検索をかけてみた。

帰着日の9月1日(火)は問題がなかった。
Advanceチケット(変更が効かない、事前購入のみなどの制限があるが一番安く買えるチケット)であればファーストクラスも予算範囲内だ。

問題は出発日のの8月30日(日)である。
検索結果を見ると、なにやら黄色い注意マークがついているではないか。
クリックしてみてみると
「線路改修工事のおしらせ」
とある。
なんでも8月最後の月曜日、31日はバンクホリデーとのことでイギリスではこの週末は三連休なのである。
なのでその機会に工事を行うのだという。
え?それはつまり運休ってこと?
と一瞬動揺したが、であればチケットを申し込めるわけもない。
よく読んでみると、この日のグラスゴー行は迂回経路を取るそうで、通常よりも30分ほど長く時間がかかるとのことである。

調べ始めた当時は8月の日曜発の列車を検索すると以下の通りであった。

・08:45 Euston発
・12:46 Windemia着

しかし、先述の線路改修工事により、出発時間が30分早い08:15となっていた。
まあ後ろ倒しにされるよりはよい。
この往路ではオフピークOff-peakチケットしか売り出されていなかったので、私のご予算ではファーストに乗るのは難しく、普通席にすることにした。

帰りの電車は

・13:44 Windermia発
・17:10  Euston着

である。
この日は19:15開演のハムレットを観に行くので、多少の遅れも考慮するとこれがぎりぎりの便であろう。
Advance料金でもちょい高めの£46.8。
ファーストにすると£58。
うーん£10の差か。
折角なのでちょいと奮発することにした。



■ツアー

予定日程的に、私がツアーを入れられるのは
・一日目(半日ツアー)
・二日目(一日ツアー)
である。
現地発着の日本語ツアーもあることはあるのだが(リンク)、まるで避けられているかのように私の日程(曜日)とは合わなかった。
なので英語ツアーを色々検索したところ、以下の三社に行きついた。

Mountain Goat 
Lake District Tours 
Lakes Supertours 

一日目の半日ツアーは選び代が多かった。
しかし大概が12時始まりなので私の列車到着時間では間に合わない。
かろうじてLake District ToursのThe Lake District Tour n Hike
は13:15始まりで間に合いそうだったが、列車の遅延リスクを考えると二の足を踏むところではあった。

そして二日目の一日ツアー。
実は私には密やかな欲望があった。
どうしても、どうしてもコニストン湖に行きたかったのである。
それは何故かというと(これはそもそも湖水地方への憧れという最初の話に立ち戻るのだが)、私は幼少のころからのアーサー・ランサム氏の一連の海洋冒険小説の愛読者なのだ。
海洋といっても、舞台は海ではない。
読んでいる自分と大して年も違わぬ子供たちが巧みにヨットを操りセーリングするのは、他ならぬこの湖水地方の湖なのである。

ランサム氏曰く、この小説にでてくる架空の湖のモデルはウィンダミア湖とコニストン湖とのことだ。
しかもそのイメージの比重(といってはおかしいが)はコニストン湖の方が高いらしい。
ランサマイト(ランサムファン)の端くれとしては是非とも行ってみたい。

という訳でコニストン湖へいくツアーをいろいろと調べてみた。
Lake District社の9湖巡りツアーは理想的だが、催行曜日が私の旅程(月曜日)と合わない。
Mountain Goat社の10湖巡りツアーは10湖も!巡るのに、なんとその中にコニストン湖は含まれていない。
同じくMountain Goat社のハイライトツアーはコニストン湖に行くが、10:15始まり14:45終わりは少し中途半端だ(もっと巡りたい)
最良と思われたのはLakes Supertours社の12湖巡りツアーだ。
ふむ、よしそんじゃこれいっとくか。

とほぼ心を決めていたところ、日本人旅行者のブログを見つけた。
なんとコニストン湖では「ツバメ号とアマゾン号クルーズ」なるものが行われているという。
主催は
Coniston Launch社というクルーズ会社。
『ツバメ号とアマゾン号 Swallows and Amazons』といえば、前述のアーサー・ランサム氏の処女作にして代表作である。
そして、このクルーズでは物語ゆかりの場所を訪ねてくれるのだという。
うおーこれ最高!これだ!
と舞い上がったが「但し催行は水曜日のみ」(木曜日のみ、という記述のサイトもあった)とありがっくり肩を落とした。

でもひょっとしたらひょっとするで、と催行元のコニストンランチ社のツバメ号とアマゾン号ツアーのページを覗いてみると、
「Every Monday,Wednesday」
とありふあああああああーーーとこぶしを天に挙げた。
月曜日来たで月曜日!
これはもうツアーなんて申し込んでる場合じゃない!
自力で行くぞコニストン湖!

しかし催行時間を見て再び真顔になった。
PM4:40から、というのはいったいどういうことだろう。
ここから90minということは、つまり終了は18時過ぎである。
湖水地方では夕刻以降、バス便は僅かになる。
これはウィンダミアには戻れないのではないだろうか。

バス会社の時刻表を見ると、なるほどコニストン18:40発の便はある。
しかしこのバス停の場所とクルーズ終着地、場所こそは大まかには分かるが、徒歩所要何分くらいかなどはよく分からない。
うーむこれは大丈夫なのだろうか。

等と一人で悩んでいても時間の無駄なので、コニストンランチ社にメールしてみることにした。
すると10分もせずにお返事が来たのでびっくり仰天する。
そんなに暇だったのか大変に親切な対応である。
その後2,3回メールをやり取りした結果判明したことは以下の通りである。

・船着き場に一番近いウィンダミア行バスが出る停留所はCrown Innである
・ウィンダミア行バスはこのCrown Innというインの前の道を渡った向こう側にある
・Crown Inn発ウィンダミア(アンブルサイド)行の最終便は18:40ではなく18:37だと思うんだけど
(サイトに上がっている今年度のバス時刻表PDFには18:40とあった。事実、バスが来たのはこの時間(よりも少し遅かったが)であった)
・船着き場からCrown Inn停留所までの所要時間は、グーグルマップによると徒歩13分
・船の正確な帰着時間は18:10
・万が一乗り過ごしたら、ウィンダミアに電話かけてタクシー呼ぶしか帰る方法はないね

とのことであった。
最後の事態だけはどうしても避けたいので、なには何でも最終バスで帰りたいと思う。

とまれこれでなんとか行って帰れることは判明したので、えいやっとクルーズを申し込むことにした。
この時点で一日ツアー案は捨てることに決定したので、あとはバスや定期船の時刻表とにらめっこして、クルーズに参加するまでの観光計画を立てることにした。

コニストン湖について色々調べてみると、北に位置する小さな湖ターン・ハウズTarn Hawsの景色がなかなかよさそうだということを知った。
しかしここ、バス&徒歩の旅行者には少々ハードルが高い。
ナショナル・トラストのサイトLake District National Parkのサイトを見ると、モデルコースが用意されていた。
(因みに地球の歩き方にも同じようなコースが紹介されていた)
参考にしたのはWalk Lakesというサイト内のプラン、Tarn Hows from Coniston だ.
このサイトには他にもルートプランが山のように掲載されている。

そして、日本人向け湖水地方サイトLake District Japan Forum にも「ターンハウズ周辺」として同じようなルートが紹介されていた。
これは実際歩いた際、確かに道が文章通りになっており大変ためになった。

という訳で、滞在二日目のまるまる一日プランは以下のようになった。

(晴れ)
・ウィンダミア⇒コニストン⇒ターン・ハウズ(コニストン湖となりの小さな湖)までのフットパスを歩く⇒コニストン⇒定期船⇒ブラントウッド(ジョン・ラスキンの家)⇒定期船⇒コニストン⇒ツバメ号とアマゾン号ツアー
(雨)
・ウィンダミア⇒ホークスヘッド(小さな村)⇒コニストン⇒(以下晴れの日と同じ)

■バス

さて、コニストンに行くためにバスの時刻表をとくと眺めていると、あることに気付いた。

ほう、ウィンダミアからグラスミア湖に行く便も1時間に1本ほどでておるな。
これに乗ってグラスミア廻って、ライダル湖までフットパスを歩いて帰りにはライダルからバスで戻ることも可能だな。
よーしそしたら一日目の半日ツアーもやめてグラスミア自力で回ろうそうしよう。
結局、どうも気儘な性格なのでツアーは性に合わないのである。
また、これだと列車の遅延リスクも回避できる。

というわけで、滞在一日目の半日プランはこのように計画しなおした。

13時前到着⇒バスでグラスミア湖へ⇒グラスミアからライダル湖へフットパスを歩く⇒ライダルからバスでウィンダミアへ帰着

滞在三日目は午前のみのフリータイムである。
やはりここは定番中の定番、ヒルトップにいかねばなるまい。
ということで、ボウネスからニア・ソーリー(ヒルトップのある村)を結んでいるマウンテン・ゴート社のバスと船の時刻表を元にスケジュールを組んだ。
(この路線は上記のグラスミアやコニストン、その他のバス路線とは運航会社が違うので、一日乗車券は使えず、この路線のみのチケットを買わねばならない)

バス時刻表はカンブリア州のサイトで最新のものが手に入る
このサイトの左メニュー、「Popular」のBus Timetablesから検索画面に飛ぶことができる。
このページの検索窓に「Windermere」と入力すると、湖水地方の大抵の路線の時刻表PDFが出てくる。
コニストン湖なら505番、アンブルサイドやグラスミアであれば555番或いは599番、ケンダルまで行きたければ555番、ボウネス行きをご希望であれば599番か755番の時刻表をご覧頂きたい。

ボウネスから船とバスでヒルトップに行きたい場合は検索窓に「Bowness」と検索し、525番の時刻表を見るとよい。
但し上記の通り、この船とバスは他の路線とは違いマウンテン・ゴート社の運行なので、一日乗り放題券の対象外となるので注意が必要である。
この船はボウネスピア3番から出航するが、このピアの窓口は開いていない場合があるので、その時は1番か2番の窓口でチケットを買おう。
往復か片道かを聞かれるのでご希望のものをお求めあれ。

■宿

最初はウィンダミア駅近くに取ろうかと考えていたが、夕方や朝に湖畔を散歩したいなと思い急遽ボウネス近辺で探すことにした。
使ったサイトは御存知Booking.comである。

ボウネス近くでウィンダミア湖に歩いて行けてご予算以内で希望日時に空いている、と条件を絞っていくと残ったのはこのB&Bだけであった。
field house guest house
幸いに口コミも悪くない。
正直1泊2万弱はご予算いっぱいいっぱいなのだが、レイクビューでキングサイズベッドというスペシャルな部屋らしいのでまあ仕方があるまい。

さて。
という訳で、諸々の下調べ、及び予約は完了した。
あとは旅立つばかりである。
ここまで調べた湖水地方の旅、結果はどうなったかは後日UPする旅行記にてご紹介しますので乞うご期待。

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