2013年4月16日火曜日

One mid-spring day


同じ会場(京都市美術館)で開催されている「ゴッホ展ー空白のパリを追う」と「リヒテンシュタインー華麗なる侯爵家の秘宝」をはしごしてきた。




(関係ないけど、今「侯爵家」と打とうとしたら「講釈家」と出てずさーっとなった。見てきたような嘘ついちゃうよー)

ゴッホ展は有名処の作品こそ余りなく点数も少なかったが、それを補う意図なのであろう、使っていた絵の具やキャンバス、風景のアングルなどを取り上げ「謎」という切り口で作品を解説している企画がなかなかに面白かった。
特に最新鋭(なのかな)の顕微鏡写真等を駆使し、ゴッホが買い求めていた絵の具が安物だったので当時精彩を添えていた筈の赤の色彩が失われている、という説明がなされている展示にはおおおっと思わされた。
つまり「あなたが今見ている作品の色彩は完成当時画家が見ていたものとは違う」というよくある話なのだが、たかだか150年程度でそのような現象が起こる(いや、それどころではなく既に画家の存命中に退色が始まっていたというが)という事実に、技術発展の「成果」として大量生産の「劣悪な絵の具」というものが誕生するのだという謂わば逆説的な現象に思い至らされたのであった。
さすれば、今までその「新しさ」故にそのような可能性について思いもよらなかった印象派その他の画家諸氏の作品についても同じく劣化(若しくは、作品が全く別物になっている可能性)の問題はあるのだろう。当時の彼等の多くは不遇を囲い素寒貧であったことだし。
でもってそこからまた発想が飛躍して、ひょっとしたらルノワールの晩年の作品における女性の肌がやたら赤っぽいのは、後年裕福になって良質の赤の絵の具をがばっと買えるようになって嬉しくてやたら使いまくったからではないか、とかいうトンデモ説を思いついたのでいっちょ流布しようかと思ったことであった(しませんが)
とまれ、これからの絵画展はただ絵を展示するだけではなく、何らかの形でかような工夫を施すのが必要になってくるのかもしれないと思わされたことであった。

リヒテンシュタイン展のほうは「ああ、いかにも貴族好みですねえ」というゴージャスな作品が並んでいた(悪い意味じゃないよ)
会場内には、当時の「サロン」を再現したというコンセプトで陳列がなされているコーナーがありこれまたなかなか趣深かった。
(しかし、雰囲気を重視した余り作品名や解説までもとっぱらってしまうのは如何なものか。勿論プリントは用意されているのだがやはり鑑賞しにくかった)

ところでリヒテンシュタインのお歴々は特にルーベンスがお好みだったそうで、コレクションにも相当の数が蔵されているらしい。
本展覧会でも数点出展されていたが、中でも印象的だったのは彼が自分の娘を描いた一幅である。
いつもの「ルーベンス工房」的雪崩の如くの雄渾な筆致とは異なり、温かみのあるタッチで描かれた少しぶちゃいくで(失礼)気の強そうな幼子のポートレート。
ルーベンスの描く子供といえばやたらと理想化(なのか?)された栄養満点てかてか且つでくでくの天使たちのイメージがあったので、この素朴とでもいいたい画風の「彼女」にはなにやらほっとさせられた。

美術鑑賞の後は平安神宮の庭園を逍遥した。
(いつの間にやら入場料が600円になっていた。高いよなあ)
ここの枝垂桜や八重桜は遅咲きなので、この日(4月13日)でもまだ花を愉しむことができた。









単焦点カメラで色々頑張ってみました。
風景写真は下手らしいので少し気合をいれたのだが、やはり難しいですね写真て奴は。

その後は歩いて10分ほどの「オステリア・オギノ」でランチ。


こじんまりした店構えであった。



前菜。
竹の子のグリルが香ばしかった。もっと欲しい。
サラダ類には本格的にビネガーが効いていて好みであった。

パスタは2種類から選べる。
+300円で手打ちパスタにできるというのでお願いした。


その1、鶏もも肉とひよこ豆。
しっかりした味付けのオイル系。
ひよこ豆と鶏肉のコンビネーションがよい。


その2。
鉄板の美味しさ、ボンゴレロッソ。
トマトソースはもう少し味が濃いのが好みだが、浅蜊との相性を考えるとこれ位がよいのかもしれない。
しかし中の野菜(小松菜?)がやたらしゃっきりしており少々不協和音と感じられた。



メインは京都ポークロースのロースト。
美味しい豚肉であったが好みからすると少々脂身が多かった。
年の所為だろうか、この頃は赤身の肉が嬉しい。




デザート
いちごのムースケーキ。
甘み控えめで尚且つソースに酸味が効いていたので難なく平らげることができた。
(私は甘いものがさほど得手ではない。単品、且つ少量なら寧ろ好んで食べるのだが、食後のデザートというものに対しては時として恐怖を覚える程に苦手だ。ディナーでデザートなぞ絶対無理である(ほぼ間違いなく酒入ってるし)なのでこのようにコースしか選び代がないときにデザートがあっさりしていると非常に助かるのである。ザッハトルテなど出された日には殺意さえ覚える)

以上で〆て2800円。(手打ちパスタ追加料金300円含む)
まあ納得価格である。
味の方も、普段使いイタリアンとしてはまずまずレヴェルが高い。
本当は本命は別にあったのだが(「ダ・ユウキ」という名のピッツェリア。名店である)、予約がいっぱいだということで振られていたのである。
このお店は、ユウキさんのあとの控え選手として、マイ京都市美術館帰りのランチの選択肢リスト(長い)に入れることにした。

食べ終わった後は鴨川や三条、四条界隈をぶらぶら散歩。
暫し、再び風景写真の修行を行う。









春麗らかな長閑な日であった。


で、最後に何故か名古屋名物・世界の山ちゃんの手羽先でビール吞んだりしたのな

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