祇園祭(のメインのイヴェント)が終わって間もない京都へ赴いた。
待ち合わせまでには時間があったので「永楽屋」へ。
家用に土用の丑のあんころ餅(そんなのあるのね)、お持たせ用に少々の和菓子を買い込む。
会計待ちの間に名物「琥珀」と冷茶を頂いた。
そうこうしていると時間となったので烏丸へ。
今夜のお店、「じき 宮ざわ」は錦市場の近くにある。
かねがねから行ってみたいと思っていたのだが、この度我が超弩級グルメ友人のF嬢が此方にやってくるとのことだったのでさすればこの機会に、と白羽の矢を立てた次第である。
店内はカウンターのみでこぢんまりとしている。
席についてまずは飲み物の物色をするも、この時期なので満場一致で「とりビー」を選択す。
ほどなくして瓶ビールと銅製の足つきグラスが運ばれてきた。
ビールを吞む器に関してはうすはりグラスだ、いや陶器だ、いやいや錫だと論議が囂しいところではあるが、この薄手の銅グラスもなかなか悪くない。
(因みに筆者は錫製のものを愛用しております)
以下、料理の写真であるが、今回は愛用のGR Digtalを忘れたためiphoneにて撮影した。
お見苦しい点もあるかとは思うがご容赦されたい。
(とかいって今見なおしてみるとGRとそんなに遜色ないんだよなあ。
これは私の腕の悪さのせいか、iphone内蔵カメラのできの良さのおかげか。
多分前者だな、うん)
帆立とズイキの紫蘇酢、的な一品。
ひとくち食べると
「…夏だな」
とか呟きたくなる、そんな爽やかな味わい。
兎に角帆立が肉厚で、そこにズイキのしゃりしゃりとした歯ごたえがマッチする。
椀ものは水ナスに大きな自家製からすみをはらりと乗せたもの。
さっぱりとした水ナスに塩辛く旨味が濃いからすみの取り合わせは面白い。
上方の出汁の味に飢えていたという東京住みのF嬢にも満足して頂けたようだ。
のど黒の刺身と生雲丹。
のど黒は皮を軽く炙られており、その香ばしさとむっちりとした肉の風味のコントラストが味わい深い。
そこに更にねっとりとした雲丹が加わって、とくればこれはもう間違いのない一品である。
堪らずここで日本酒にシフト。
選んだのは新潟の「鄙願」(ひがん)という冷酒だ。
ほんの一時期住んでいたこともあり、新潟の酒は大概知っている筈なのだがこの銘柄は初見である。
それもその筈、この酒を出されているのは全国でもこのお店だけなのだという。
確かに検索してみても個人の日本酒サイトしか出てこない。
夏に相応しい、クリアでさらっとした味わいの一献であった。
お店のスペシャリテ、焼き胡麻豆腐。
(とかいいつつ予約した私は全然知らず、前もってサイトを予習していたというF嬢に指摘され初めてああここの名物なんだ、と知った次第である。
前から行きたい店リストに入れておいた割には色々と詰めが甘い)
正直、胡麻豆腐というものは好きでも嫌いでもなくまあ和食小鉢の定番だよね、的認識だったのだがこの「焼き」胡麻豆腐を食し色々開眼させられた。
これは旨いわ。うん。
表面はぱりっと焼き上げられ、そこに箸をつけると中からねっとりまったりした中身がとろんとお出ましになる。
その、ぱりっととまったりのハーモニーを掬い上げ、たっぷりのすり胡麻と共に頂くと…
即ち箸止まる能わず、である。
これだけのためにも必ず再訪するわ!と思わせられた一品。
稚鮎揚げ。
今シーズン稚鮎を味わうのはこれで三度目だが、文句なしに一番の逸品であった。
ほろ苦い頭からほっこりした魚の旨味を感じる腹部分までの味のグラデーションが鮮やかで、冷酒が止まらないったら止まらない。
お凌ぎ(かな)、じゅんさい。
これまた夏の到来を感じる一品。
えっ、もうご飯もの?
と焦るもこれは所謂「ご飯」の位置づけではないらしい。
「鰻の蒲焼き、山椒と餅米添え」
とでも呼ぶべき一皿である。
(間違えても「ミニ鰻丼」ではないようだ)
鰻とくればちょびっとご飯欲しいよね、というニーズに応えた一品、なのだろうか。
鰻は余分な油を落としつつぱりっと焼き上げられており、目が覚めるほど「麻」の刺激たっぷりの山椒ともっちりした餅米がよくマッチしていた。
鱧しゃぶ。
F嬢が関西に来たら鱧が食べたかったんですやった!と大喜びしてくれたので私も嬉しい。
珍しく出汁のみで食べるタイプではなく、おろしポン酢で頂く趣向である。
鱧はむっちり肉厚で食べて食べ飽きない。
お釜で炊きあげられたご飯。
兎に角、お米が甘い。
そしてその味わいが一膳目と二膳目、三膳目でどんどん変化していくのも面白い。
添えられたお漬け物、そしておじゃこでお腹いっぱいの筈なのにどんどん箸が進む。
私は平生夜には炭水化物を食べぬのだが(酒吞みだからね)、気づけば三杯おかわりしていた。
まっとうに炊かれたご飯の恐ろしさよ(まんじゅう怖い的意味で
西瓜、白桃、マスカットにジェリーをトッピングしたデザート。
お腹はもうはち切れそうだけどこういう果物系はするすると入る。
イタリアンのフルーツポンチ、マチェドニアも好きだけどこういう果物の甘みを活かしたもののほうが好みですね。
プチ・デセール的最後のスイーツは鈴もなか。
目の前の火鉢で炙られぱりぱりになった皮にあんこを詰めて供される。
このあとおうすを頂きコースは終了。
いやー、満足至極な京都和食の宴であった。
グルメF嬢にも満足頂けたようで何よりである。
今度は母親を連れてこよう。
(というのが私が店を判断する際のバロメーターである)
この日は珍しく涼やかな夜で、鴨川名物川床のお客さんは寧ろ冷えるのではなかろうかと思ったことであった。
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