2015年9月17日木曜日

8/29(土)日本を出立しイギリスの地に足を踏み入れるも、ホテルやバービカンシアターで波瀾万丈の兆しあること

8月29日(土)大阪:くもり 成田:晴れ ロンドン:くもり

8月29日。
おんな一人イギリス湯けむり10日間ツアー、遂に出立の朝である。
(一部フィクションあり)

ひとまずは朝8時の伊丹発成田行きの飛行機にて国内移動する。
この便に搭乗するのはほぼ、いや全員が国際線乗り継ぎ客である。
前に並んでいた素敵女子2人もイギリス行らしく、湖水地方楽しみだねーとか雑貨市覗こうねーとか談笑していた。

翻って此方は一人旅。
髪はひっつめ、背中には巨大リュックのバックパッカーである。
いやちゃんとスーツケースは持っているのだが、何故にこれほどリュックが巨大なのかというと、ひとえにバゲージロスを恐れてのことであった。
中身は3泊を賄えるだけの諸々の荷物である。

それは今年3月のこと。
出張でニューオーリンズに赴いた、いや赴こうとした際、飛行機の整備不良で2日間成田に留め置かれるわ帰りの飛行機もトラブルで引き返し結果帰国が2日遅れるわと散々な目に遭った、というのは当時ツイッターやFBで切々と語っていた通りである。
(本ブログでは記事が途中になってますねすみません)

この一件のせいで私は旅行に関しては非常に慎重、且つびびりになった。
台風で飛行機飛ばなかったらどうしよう。
バゲージロス喰らったらどうしよう。
列車遅れたらどうしよう。
どれも考えても仕方のない杞憂なのだが、このようなありうるトラブルについては前もって人知の及ぶ限りの対策を講じた。
つまり、台風対策は成田のホテルを押さえておく(前日入りの可能性を踏まえ)、バゲージロス対策はできるだけ荷物を持ちこむ、列車遅れ対策は余裕を持ったスケジュールを組むなどなど。
それでも予測できないトラブルは起きようが(他ならぬ私のことだから)、もうその時はぶっつけ本番で対峙するしかあるまい。


伊丹のゆるキャラ、そらやんを眺めて暫しリラックスする

幸いにも第一関門?の台風には遭うことなく、くそ重い手荷物をひっさげた私はまずはめでたく成田に到着することができた。
出国審査もスムーズに済み、いざ11時40分発ロンドン行きの飛行機に搭乗である。
機内食までにおなかが持ちそうになかったので、当分食べられないであろう梅干しおむすびをロビーでもぐもぐした後にいざ乗り込んだ。



さて、国際線と言えばお楽しみは機内エンターテイメントである。
映画何見ようかしらとチェックしていたら、日本では未放映のドクターフー最新シリーズ(9月17日現在)があったのでやれ嬉しやと視聴した。


機内エンタメ画面を撮る謎の女

勿論英語オンリーで字幕もなかったが、なんとなく筋は辿れた。
カパルディドクター、渋かっこよさとそれでいてドクターらしいお茶目らしさが程よくブレンドされていて大変宜しい。
日本でも早く観たいものだ。

ほかの映画やドラマには余り興味をそそられなかったので、予習がてらipadに入れておいたケネス・ブラナー版ハムレットをぼちぼちと観る。
ケネス氏のハムレットは端正で美しい。
ほぼ原作を網羅した内容のため4時間と長いが、網羅しているが故に予習にはもってこいである。



機内食1。お魚を希望したが売り切れだったらしくお肉になった。



飛行機の夜のお楽しみ、アイスクリーム。


硬さは新幹線のアイスクリーム並みである



機内食2。「和風サーモン」をセレクトしたら予想とかなり違うものがでてきた。
でも案外美味しかったのでよし。

こういったものをもしゃもしゃ食べたりうたた寝したりしているうちに、約12時間でヒースローに到着す。
入国審査の列には15分くらい並んだだろうか。
問答は大体以下の通りであった。

「汝はいかほど英吉利に滞在せしか」
「9日間である」
「汝は何が故に英吉利に来たりしか」
「そは演劇鑑賞の為である」
「その演劇は何ぞ」
「沙翁のハムレットである」
「ほう。ときに汝、一人旅か」
「さよう」
「英吉利に友ありしや」
「否」
「英吉利滞在が終わりし時、汝はいずこに向かいしや」
「すみやかに日本に帰りぬ」
「相分かった。我が国に立ち入るの儀、許して遣わす」

相変わらずちょこちょこと聞かれる審査である。

目出度く解放された後は、これまた目出度くバゲージロスの憂き目に遭うこともなく荷物をピックアップし、いよいよロンドンへ向かわんとする。
しかしながら一番分かりやすい筈のヒースローエクスプレス乗り場が分からず、のっけから安定且つ不変の方向音痴っぷりを発揮した。
だが迷いついでに、オイスターカードに£40をトップアップするというミッションを敢行することができたのでよしとする。

その後やっとのことでヒースローエクスプレスに乗り込み、15分やそこらでパディントン駅に到着した。
そして地下鉄に乗りかえユーストンスクエア駅へと向かう。
本日の宿、ユーストンスクエアホテルは本当に駅近物件で、稀代の方向音痴もすぐに見つけることができた。

のだが。

「ごめーん、部屋用意できないわ」

は?

「あなたの部屋に昨日泊まった人が煙草吸っちゃってさあ。
臭いとれなくってちょっと提供できないんだよね」

いや、それならそれで別にいいけど?

といいかけたが、相手の表情を見るにどうもそういうわけにはいかないようだ。
ダブルブッキングの言い訳なのか、室内喫煙厳禁のイギリスならではなのかはよく分からないが、何にせよここには泊めては貰えないらしい。

「ごめんごめん、他のホテル用意するから!」

というホテルマン氏に、

・追加金額はかからないか
・そのホテルはユーストン駅からは近いか

という件をよろよろ英語で詰問する。
なんせこちとら、明日は朝早くから湖水地方に旅立たねばならないのだ。

「あー大丈夫、ウチよりも安いホテルだから。
一旦先払いしてもらってた料金払い戻しして、向こうで払ってもらうことになるよ」
「駅?近いよ近いよ!歩いて5分!」

ううむ。
ひとまずは信用せねばなるまい。

そうするうちにキャブが来たので、件のホテルマン氏と共に乗り込み新しいホテルへと向かった。
道中グーグルマップを起動し場所を確認すると、なんとどんどんユーストン駅から離れていくではないか。
「あのう、本当にユーストン駅から近い?」
「近い近い!歩いて10分だよ!」
伸びとるがな、という言葉をぐっと飲み込む。

しかし心配していたよりも早くキャブは止まった。
着いたのは可もなく不可もない大型ホテル。
ホテルマン氏はまっすぐフロントに向かいちゃっちゃかとチェックインし、部屋まで案内してくれた。
どの部屋のドアも年季が入っていて(つまり剥げていて)なんかいやだな、と思ったが中はそうでもなく、そこそこ綺麗にリノベーションされていた。
ホテルマン氏はやたら念入りにトイレよーしバスよーしベッドのスプリングよーし(手のひらで押してた)などと確認してくれた。
「これでよし。あ、ユーストンへの道わかる?案内したげるよ」
グーグルマップで分かりそうではあったがお言葉に甘えることにした。

実際歩いてみると、ホテルから駅までは徒歩7分といったところであった。
うむ中間だな。
「で、なにするの?駅で」
「場所確認と予約してたチケットの受け取り…」
「あー、じゃあやったげるよ」
あれよあれよとチケットを取ってくれるホテルマン氏。
「わー、ありがとうありがとう」
「いいから早くこれ、バッグにしまいなさい!」
「はぁい」
お抱え執事がいればこんな感じなんだろうか、と思った。
早く石油を掘り当ててジャービス(@アイアンマン)のような執事が欲しいものだ。

親切なホテルマン氏と別れた後は再び地下鉄へ。
次なる目的はバービカンシアターの下見である。

8月5日から10月31日まで、ここバービカンシアターではかのベネディクト・カンバーバッチ氏のハムレットが上演されている。
私の今回のイギリス行は、ひとえにこのハムレットを観るためのものであった。
(勿論他にもたっぷりとオプションをつけたのであるが)

バービカンシアターは地下鉄バービカン駅、若しくはムーアゲート駅から歩いて5分程のところにある。
私はノーザン線使いだったのでムーアゲート駅から向かった。
駅の出口にはバービカンセンターはこちらという表示があり分かりやすい。




駅からでるとこんな感じ。


周囲はオフィス街という風情だ。



さあいよいよやってきた。



劇が行われているのはグラウンドレベルだ。
先ずはチケットの引取り。
必要なものは予約時のe-mail、そして写真入りID(パスポート)だ。
(決済したクレジットカードの提示は求められなかった)
この公演のチケット購入は直接バービカンから買うルートとATGというチケット屋さんルートの二つがあったが、事前にチケットを引き取ることができるのはバービカン経由のものだけで、ATG経由のチケットは公演当日しか引き取ることはできないそうだ。

次にグッズを物色する。
パンフレット、長く売り切れだったというトートバッグ、そしてシェイクスピアもので登場人物がどのような最期を遂げるかを図示したテーブルマット?を購入した。
のんびり眺めていると、
「もう公演時間だけど大丈夫?」
とお店のおじさんに声をかけられた。
大丈夫です今日は観ないから、でもありがとうとお礼をいっておく。

さて下見も終わったし帰ろうか、と元来たシルクストリート出口へと引き換えしふと見ると既に出待ちのファンがぼつぼつと集合していた。
今からだと一列目のよいポジションをゲットできるな。
しかし終演まであと3時間以上もあるし、今日長時間のフライトしてきた身には堪えるよな。
でも、今日以降は公演を観てから馳せ参じることになるから、もうこんな前のポジションゲットすることはできないよな。
どうする。どうする私。

結局、千載一遇のチャンスをものにできるかも、という誘惑に抗いがたく3時間の座り込み(途中から立ち)を敢行することにした。
友人もおらず暇なこと極まりなかったが、ipadにたっぷり漫画を入れておいたことが幸いし(アホ)、時間はあっという間にではないもののそれなりに過ぎ去った。

10時をだいぶまわると役者さんがつぎつぎとステージドアに現れた。
まだ劇は未見なので誰がどの役者さんなのかもさっぱり分からないのだが、取り敢えず(失礼)サインを頂く。
皆さんお疲れだろうに、大変快くサインをして下さった。





さて真打ちベネディクト氏はいつ現れるのだろう。
と期待していたところ、代わりに現れたのはスタッフ氏だった。

「ごめん、今日ベネディクトはステージドアしないってさ。
あしからず了承してね」

いっせいにギャラリーから漏れる溜息。
「なんで?ねえなんで?」
と詰め寄るファンもいたけれど(スタッフ氏はそんなの僕に言われても…と当惑気味だった。そりゃそだろう)全体的に皆さん非常に落ち着いた雰囲気で、その後も他の役者さんが現れたら歓声を上げたりサインを貰ったりしていた。
流石はベネディクトファンやで
(自画自賛)

そんな訳でベネディクト氏出待ちは功を奏さなかったけれど、色んな方にサインを頂けハイタッチなんかして貰ったりして、個人的にはなかなかに楽しいステージドアであった。

宿の最寄駅に帰りついたのは11時半過ぎであった。
夕飯がまだだったので近所のテスコで適当に何か買って帰ろう、と見たところなんと(なんと!)アルコール類が一切おいていなかったので、水とサンドイッチだけを買ってとぼとぼとホテルに向かった。


わびしい夕ご飯

一日目は何かとついていなかったけど、まあ明日はきっといいことあるさ。
…あるさ!

つづくねん

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