2013年8月20日火曜日

A one-day trip to FUKUI(vol.2)

さてさて。

恐竜博物館を堪能したあとは、再び勝山駅に戻らんとシャトルバスに乗り込んだ。
…だが、何かがおかしい。
走るルートが往路と全く違うのである。
あれあれおかしいおかしい、と一人焦っていると、バスは見知らぬ場所に停車した。
前に広がるはだだっ広い駐車場。
なんとしたことか、私は間違えて臨時駐車場に辿り着いてしまったのであった。

わあどうしようどうしよう。
ここは誰私はどこ。
青ざめつつiphoneでGPSを始動させ現在位置を確認したところ、勝山駅から徒歩30分位の地点にいることが判明した。
まあいいや、時間はあることだからお昼ご飯を食べがてら勝山の町を歩いてみるか。
暑いけど。

まず向かったのはGPSで見つけた「8番ラーメン」。
北陸の国道8号線沿いを中心に展開しているチェーンのラーメン屋さんである。
お盆だからだろうか、店内は大変に混み合っていたが一人なのでなんなく滑り込んだ。

メニューが豊富でどれにしようかしばし悩んだが、初めての店では定番を、という鉄板の法則に従い看板メニューの「野菜らーめん」にすることにする。
だが、後のこと(勿論夜の居酒屋です)を考え、野菜の量はそのままだが麵は半量という「小さな野菜らーめん」を注文することにした。


来た。
ナルトが8のマークなのが可愛い。
(というか、8のマークである時点で既に「ナルト」ではないのだが)
スープは豚骨、塩、味噌、醤油が選べたが、なんとなく普段選ばぬ味噌をセレクトした。

いやこれ美味しいです。普通に。
チェーンのラーメン店としてはかなりいい線いってると思う。
また、麵が半分で具は同量という私の好みどんぴしゃりというオプションが選べるのも気に入った。
関西にもお店ができればいいのに、と思う。
8号線ないけど。


という訳で全汁。
塩分が気になるお年頃だけど、大丈夫これから炎天下を延々歩くんだからみんな汗になる、という欺瞞で己を騙すことにした。

食後、意を決して店を出て歩き出す。
確かに陽射しは厳しいが、時折吹く風は大阪のそれとは違い心なしかひんやりとしている。


名は知らねど、いい感じの川が流れている。
川遊びしたいがぐっと我慢。


田舎はバッタもでかい。


古色蒼然とした雰囲気のあるお宅を散見す。


そして、偶然「一本義」の蔵(ですよね)を発見し、一人興奮す。
ここのお酒、野太くって好みなのだ。


向かいにオフィシャルショップ?も発見。
これは入らざるを得ない。

ここで、
・長期熟成酒「古熟」
・里芋の煮っころがし
・たくわんの煮たの
・アマゴの甘露煮
・ゼンマイの煮たの
を購入。
真空パックのお総菜はどれもこれも私好みだったので、置いてあるものを全て買ってしまった。所謂大人買いである。
里芋の煮っころがしは初めて見た。
煮っころがしはじゃがいもと相場が決まっていると思いこんでいたのだが、ここ福井では煮っころがしといえば里芋のそれを指すらしい。
(これを書いている時点でまだ食べていないが)
お酒は結局ミニサイズのもの一本しか買わなかった。
我ながら珍しいことだ。

重くなった荷物を担ぎ再び出発。
メインストリート?的な道を発見し、暫し辿ってみることにする。


…多分、メインストリート。
人っ子一人歩いていないが。



やたらと呉服屋さんが多い。


銀行も渋い。


ボケちゃったが雰囲気がある旅館「板甚」。
調べてみると、なんでも司馬遼太郎が『街道を行く』の旅で宿泊したこともあるらしい。


勝山ではマンホールも恐竜にジャックされている。
さりげに華やかなデザインだ。


やっとこさのことで九頭竜川を渡る橋に辿り着いた。
ここを渡れば勝山駅である。


駅に着くと、古い車両が目に付いた。


一両編成であることは今と変わらないようだ。


駅舎。改装中だがなかなかにシックだ。


ホームには黄色いチューリップ、じゃない恐竜の足跡が。
結構雑素朴で可愛らしい。


そして我が列車。

無事に乗り込みほっと一息つく。
なんせ30分に1本のダイヤなので、乗り遅れると何かと大変なのだ。


再び九頭竜川を眺めつつ福井市へ。


1時間弱で福井駅に辿り着いた。
行きはなんとも思わなかったのに、この時にはこの駅がすんばらしく都会に見えた。

ここからタクシーで福井県立博物館へ向かう。


お目当てはこれ、ミケランジェロ展。
なんと東京と福井にしか巡回しないというよく分からない(失礼)展覧会である。
そもそもこの福井弾丸ツアーを敢行した狙いはこれにあったといっても過言ではない。

で、見ました。
見たんですけどね。
うーん。
感想を一言で言いますと、
「仮にこれを目当てに東京に行ってたら、私多分暴れるやろな」
でありました。
率直に過ぎてすまない。

つまり、良くいえば展示物がやたらとマニアックなのだ。
(悪くいえば地味)
主な作品が習作にスケッチ(一緒か)、書簡というのは普通の人はやはり拍子抜けするのではあるまいか。
たまにカラーの作品あるで、と思いきやシスティーナ壁画の複製写真ではちょいとがっかりである。
協賛に大塚美術館の名があったときには嫌な予感がしたのだが(ごめんなさいごめんなさい)やはりそうきたか感は否めなかった。
サンピエトロやサン・ロレンツォ教会やらメディチ家礼拝堂の写真パネルに至っては、申し訳ないことながら素通り同然であった。

スケッチや書簡ばかり、というのは6月に訪れた東京都美術館のレオナルド展もそうだったのだが、彼方は兎に角作品量が多く、その点で圧倒され、且つ或る程度満足できたところがあった。
今回の展覧会はその「量」という点に於いても少々失望せざるを得なかった。

ま、等と文句をいいつつ、「あの」白鳥のレダの習作はまことに佳い作品であったし、聖堂のセピア色の平面図には或る種シックモダンな美を感じたし(ごめんなさい適当にモノ言ってます)、ところどころで楽しめたことは間違いない。
因みにこの嫋やかなレダのモデルは男性らしい。
実に素晴らしい
(綺麗な目で)

ちょっと難しい顔で博物館を出た後は、丁度やってきたコミュニケーションバスとやらで再び福井駅に戻る。
最近この手の100円バスが多いのは助かる。

駅で再びお土産を物色す。
買ったのは、

・塩蔵ウニ(高いぞ。しかし旨いぞ)
・ウニ豆
・オーロラ印の鱈干物
・甘エビ味噌パスタソース
・鱈の子缶詰

である。
見事に甘い物が無いのは私の趣味に拠る。
てか魚介類ばかりだな。

福井の塩蔵ウニは、他の地域のそれと一味異なる。
まず、粘度、密度が全然違う。
バフンウニ100%で作られるそれはねっとり濃厚で、ほんの少量で幾らでも酒が飲めてしまうのである。
一度頂いてすっかり虜になったので、今回えいやと自分の為に購入した。
(だが家に帰り冷蔵庫に仕舞う際に敢えなく母に見つかり、にこやかにええもの持ってるやんか、半分こしような、と肩を叩かれた。うう)

さて日も暮れかけてきた。
旅の愉悦の一である夕飯をしたために行くことにしよう。
勿論私の場合、それは酒を遣ることと同義である。

まず向かったのは下調べしておいた某店。
(後述する理由により名は秘す)
カウンターに座り、先ずはビールで喉を潤しつつメニューを物色する。


先ずは刺し盛り。
写真中央のシマエビがまことに甘く、白眉であった。
あとの鯛に大トロもまずまずだった。
サザエもこりこりとそれなりに旨い。

駄目だったのは鱧だ。
口に含むと苦手な水臭い味がする。
(私基準、及び地方都市基準で)まあまあの値段がしただけにここでテンションダウンす。


車海老の天麩羅。
ああ、これはあかん。
まず、揚げ方が全然なってない。
こんな衣がぼってりついてたら何の天麩羅だか分かりゃしない。
あと、かあさん、僕の海老の頭は何処に行ったんでしょうね。

折角の弾丸ツアーの最後が嫌な思い出で締めくくられるのは避けたかったので、申し訳ないけれど早々に店を出た。

暫しワンダリングして見つけたのは、駅にほど近いいかにも大衆酒場的雰囲気の炉端焼きのお店。
盛況だったし、よしここは間違いないと踏んで入ってみた。


塩蔵ウニ。
自家製だろうか、粒が大きく、その割にかなりお値打ちであった。
しょぼくれかけていた気分が少し上向いてくる。


赤イカの刺身。
うん、これは美味しい。
先程のウニと一緒に食べれば当に「酒盗」である。


なので今日立ち寄った一本義の本醸造を頂く。
しっかりと腰のある味わいで旨い。


炉端焼きのお店なので焼き物もひとつ、と頼んだひね鶏の焼き鳥。
これがまた旨うござってな。
ひね鶏だけあって歯ごたえがしっかりしているのだが、嚼めば嚼むほど旨味が口の中に広がっていく。
味付けも甘すぎず好みである。
私は大好物故焼き鳥にはちったあうるさいのだが、これはほんにいける一串であった。
感心しつつ頬張りつつ、そういや福井は全国焼き鳥チェーン「秋吉」の発祥の地だったな、なんてことを思い出す。


酒を吞んだ後の「〆」にはいっかな縁がないのだが(もとい苦手なのだが)、やはりここにくれば越前そばを頼まざるを得ないであろう。
〆を想定した小盛のそばは、ご覧の通りの田舎の野太いタイプ。
所謂線の細い上品な更級系よりも此方のほうが好みだ。
こんな蕎麦が飲み屋に常備されていれば〆派に転向してしまいそうだ。

という訳で、終わりよければすべてよし。
結局は目出度く旨いアテと旨い酒にありついた私は、上機嫌で最終のサンダーバードに乗り込んだのであった。

福井弾丸ツアー記 お わ り だ よ

次からは沖縄旅行記に戻ります〜

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